熊本YMCAは、7月豪雨で甚大な被害に見舞われた球磨村の村外避難所である旧多良木高校で、2カ月半にわたり避難者の生活をサポートしました。事前にPCR検査を行うなど新型コロナウイルス感染対策を十分に講じたうえで、全国のYMCAや協力団体からも支援スタッフが現地入りし、運営を支えました。
避難所にやって来たとき、住民の方々が明るく気さくに話しかけてくださって、想像していたイメージとは違って驚きました。ところが、日を重ねるうちに、将来への不安や避難所生活で感じる小さなストレスを住民の皆さんが溜め込んでいるのに気づきました。
初めは生活環境の整備や補修といった自分の役割にしっかり取り組むことを心がけていましたが、たとえ作業の最中でも、住民の皆さんとあいさつを交わしたり、会話をしたりすることを一番に考えるようになりました。そして、たわいもない話で笑ったりすることが、自分の元気にもなっていました。
仮設住宅等への引っ越しに伴って退所する際に、泣きながら「ありがとうございました」とスタッフに伝える住民の姿を見ていると、その言葉の背景に、災害が起きてからそれまで本当に多くの苦労や不安があったことが感じられて、自分も涙がこみ上げてきました。
仮設住宅に移れば復興が進んでいくような気がしていましたが、むしろそこからがスタートです。長い時間をかけて、復興に向かっていくのだと知りました。