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【熊本豪雨】被災地のいま THE YMCA 12月号

球磨村

7月豪雨災害によって被害が大きかった球磨村は、避難所のある多良木町とは車で1時間以上の距離があります。避難者は自宅へ片付けに帰るにも一苦労です。豪雨により、村内にあった小学校2校のうち1つは水害によって使用できなくなり、隣にある、特別養護老人ホームでは避難が間に合わず、入居者14名が亡くなるなどの被害がでています。支援に入るスタッフは、被災状況を視察したのち避難所へ入るように心がけました。

コロナ禍での避難所運営には、3密の回避、検温やマスク着用の徹底、静養室の確保、全国からの応援スタッフのPCR検査義務、メディア取材の制限など、多くの注意事項があります。しかし命を守るために徹底をしながらも、住民の負担にならないような工夫もしました。ウイルスを持ち込まないための外出管理の徹底は、敷地内での防犯対策につながり、著名人による慰問の制限やメディアによる取材の制限は、住民たちに混乱のない穏やかな生活をもたらすなど、新たな発見もありました。さらに、コロナ禍でも工夫を凝らし、オンライン音楽ライブ、SNSによる発信なども行いました。

また、YMCAスタッフの得意分野を活かしたレクリエーション体操、歌声広場などでは、「久しぶりに笑ったわ!」と喜ぶ顔がありました。小中学生のプログラミング体験も実施したキッズスペースは、片付けや新しい生活の準備で忙しい大人に代わって、スタッフが思い切り遊び、子どもたちにも笑顔が戻りました。ワイズメンズクラブにご協力いただいた炊き出しは、感染予防の対策をして行い、温かく美味しいものが食べられたと大好評でした。

10月31日の閉所を前に、多くの方が新しい生活へ向かっていきます。運営スタッフは「いってらっしゃい」と送り出します。泣きながら「さみしいなあ」と言ってくれる方や、退所後も毎日のように顔を出してくださる方もいます。避難生活が、苦しさや辛さだけで終わるのではなく、人との出会いや喜び、楽しみがあったと思い返していただけるよう、最後まで支援したいと思います。

熊本県7月豪雨災害支援報告会(10月28日開催)より

丸目陽子

旧多良木高校避難所長
熊本YMCA
 丸目 陽子

熊本地震では、熊本YMCAが管理する益城町総合運動公園で避難所の運営にあたった。現在は、同運動公園の所長を務める。


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