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【Yストーリー15】被災小で水泳特別授業

2016年7月20日

 熊本地震から3ヵ月。地震回数はついに1900回に達した。昨年一年間に日本全国で観測された回数は1842回で、一連の熊本地震はこれを上回った。
 熊本県内では仮設住宅の建設が進むが、今も約4700人が避難生活を送る。益城町に516戸が集まる県内最大の仮設団地が完成し、入居が始まった。町中心部から遠く、交通の便が悪いことなどが理由で入居辞退が相次いだが、バス路線の新設やスーパーの誘致など利便性の向上で、全戸の入居者が決まった。仮の新居へ移った被災者は、生活再建に向けて少しずつ歩み始めている。(写真は津森町民グラウンド)

仮設住宅

 地震の爪痕が色濃く残る益城町の津森小学校で、YMCAの指導者による水泳特別授業が行われた。津森小では地震による送水管の損傷により、プール開きが例年より3週間遅れた。地震で休校した期間を補うのに1学期が長くなり2学期の開始も早いため、授業時間は確保できるという。体育館は今も、天井や壁が崩落し、使用禁止となったままだ。町の給食センターも被災し、現在も給食は業者の弁当で代用されている。

「大きく腕を回して」。プールで子どもたちに声をかける指導者の中に、田代海帆さん(熊本学園大4年・写真右手前)の姿があった。普段はみなみYMCA(熊本市南区)で、子どもや大人を対象に水泳指導をしている。前震の時は大人向けのレッスンの最中だったという彼女は、「プールに大きな波が起きて、うまく身動きができなかった」と振り返った。
 そんな田代さんの目標は、子どもたちに関わる仕事に就くこと。今回、「子どもたちを笑顔にしたい」と志願した。「競技的な泳力はなくても、浮く力があれば溺れることはない。泳ぎが苦手な子どもたちの力になれたら」と、この特別授業への思いを話してくれた。

 67年前、修学旅行中の津森小6年生児童が乗った遊覧船が転覆し、児童と教師、校医の24人が亡くなった。この事故を教訓に、4年前に同小でこの“命を育む”授業が始まった。YMCAのスタッフは「命の大切さを感じ、自分の身を守る術を身につけてほしい」とメッセージを送り続けている。この日、子どもたちは、けのびやバタ足の練習、クロールと息継ぎの仕方などを教わった。授業の内容は「わかりやすい」と子どもだけでなく先生にも好評だ。今夏初めて、この取り組みは津森小を含めた益城町の全5小学校で行われることになった。

水泳授業

 津森小の児童数は89人。佐藤浩介校長によると、このうち3割から4割の家庭が全壊もしくは半壊。「避難所や知人宅で生活する人、半壊の家や納屋で生活する人など様々。学校では通常のペースを取り戻しているが、家に戻ると眠れない子もいる」と、子どもたちの様子について説明する。プールや水遊びは子どもたちにとって夏の大きな楽しみの一つ。不安な生活が続く中、少しでも笑顔が増え、地域の活力が増していくことを願いたい。

写真及び報告作成:因幡亮治 熊本YMCA

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