特定非営利活動法人CWS Japanの協力により熊本YMCAが行う支援活動の取材が行われました。内容をご紹介します。
2016年5月11日
地震の影響で、熊本県内では小・中・高校の3分の2が長期休校を余儀なくされた。三週間余りを経てようやく再開を迎えたが、中には避難所を残す学校もある。一時最大で18万3882人いた避難者は、1万2099人(熊本県発表・5月10日時点)にまで減った。学校の再開を前に一部避難所への集約が図られたが、希望施設に入れない、移動が難しいなどの声もあり、避難所は依然課題を抱えている。
「また皆さんとお会いできてうれしいです。」前震から26日後、プログラムを再開したみなみYMCA(熊本市南区)で、指導にあたるリーダーが保護者へ向けてメッセージを伝えていた。以前から熊本YMCAではリスクマネジメントの一環として、期間を設け、プログラム内で避難訓練を実施していたが、今回の地震を受けて改めて避難経路などの確認が行われていた。
体操教室を見学する観覧席では保護者同士が、地震の後、どのような暮らしぶりであったか、被害の程度がどうであったかについて、情報を交わしていた。
もちだ ののかさん(3歳)のお母さんはこう話してくれた。「娘は、久しぶりの幼稚園に初日は変わらず通ったのですが、不安なせいか泣いた子どもが多くいたため、二日目は泣いて通園を嫌がりました。今もテレビで地震が発生した時の映像が流れると、見せないで、と言うんです。」
専門家によれば、災害のような衝撃的な体験をした場合、心身に様々な影響が出ることがあるが、体験直後だけでなく、数日後、あるいは数週間や数カ月経ってから症状が表れることもあるという。
そのだ ひろのぶくん(5歳)のお母さん(写真:左)は、「今でも余震が起きると抱きついてきます。体操教室も新年度がスタートしたばかりでしたから、子どもはかなり運動不足でしたね。」お二人は、子どもたちにとってプログラムの参加は気分転換に最適だと顔を見合わせた。
水泳教室に通うたじり りょうせいくん(3歳)・こうせいくん(6歳)・ゆうせいくん(9歳)(写真:右)のお母さんは、「地震が起きたのは、子どもたちが眠っていた時でした。二度目は夜中でしたが、さすがにただ事ではないとわかり、寝ていた子どもを起こして家族で避難しました」と、発災時を振り返る。「余震も続いているので、一人で遊びに行かせるのが不安で今日は(別の曜日に参加する)お兄ちゃんも連れてきたんです。これまでだったら、今くらいの時間は友だちと遊びに行っていたでしょうね。」
不安を抱えるのは子どもだけではない。気が休まらないのは親である大人とて同様だ。そんな日々の中、特に子どもたちの遊びや友だちとの時間はかなり限られていたはずで、ゆうせいくん本人も「退屈だった」ともらしていた。
「今日YMCAに来る前に、息子は『やったー』と声を上げていました。学校やYMCAも始まって急に慌ただしくなった気がしますが、これが日常だったんだな、って思います。地震でいろんな体育施設が被害を受けたと聞いていたので、YMCAもどうなんだろうと心配していました。また参加できて、よかったです。」
「日常に戻る」ということと、「復旧」や「復興」は必ずしも同義ではない。熊本地震は建物やモノだけでなく、人々の心に深い傷を残した。YMCAは、再びプログラムに参加する子どもたちや保護者を迎え入れ、人々の居場所としての役割を取り戻し始めている。
写真及び報告作成:因幡亮治 熊本YMCA
>>YMCAの活動について熊本YMCA緊急災害支援Facebookページをご覧ください
防災ページTOP|YMCA支援活動動画|過去のYストーリー等更新情報