北部タイ山岳少数民族の子どもたち

北部タイ山岳少数民族
タイ北部には、山岳民族と言われる少数民族が暮らしています。主な民族は、アカ族、カレン族、モン族、ヤオ族、ラフ族、リス族。山岳民族はタイだけでなく、ミャンマー・ラオス・中国雲南省などの山岳地帯にも住んでいます。
彼らは国境が存在する前から山岳地帯を移動しながら生活していたため、複数の国に民族が分散しているのです。過去200年の間に、大半が争いや社会的な圧力から逃れ、肥沃な土地を求めタイに移り住みました。そして、独自の文化や言語を持つ、いくつもの民族がその伝統を残しながら、それぞれに村をつくりました。
山岳少数民族の抱える課題
かつて、山岳民族は焼畑農業と麻薬の原料であるケシの栽培によって、生計を立てていました。ところが、タイ政府は森林の伐採や焼畑、ケシ栽培を禁止。現在は、タイの王室や国際援助団体の作物代替プロジェクト支援によって、コーヒー、野菜、果物、花などを栽培しています。それでも、重労働に見合わない不安定な収入から、山を離れて出稼ぎに出る人も増えています。依然として国籍を持たない人も存在し、タイ語の不自由さから、人身売買や売春などの被害に遭うこともあります。
近年、山岳地帯にも電気や水道が整備され、ようやく村の近くにも学校ができはじめました。しかしながら、学校の数や村近くの学校で行われる教育内容が必ずしも十分ではないために、親元を離れ寮生活を送る子どもは今でも多くいます。
若竹寮の支援と交流
1994年、熊本YMCAは山岳民族の子どもたちが共同生活を送りながら学校に通えるようにと、里親制度による寮の運営を開始。“子どもたちがすくすくとまっすぐに育つように”との願いを込め「若竹寮」と名づけられました。50名近い寮生たちは、料理や掃除、草取りなどを交替で分担し、協力しながら寮生活を過ごしています。
経済的な支援以外にも、現地の様子を知り、人々と積極的な交流を図るため、「ワークキャンプ」や「スタディツアー」を継続的に実施してきました。 参加者は若竹寮やタイのYMCAが活動している現場を訪れ、タイの抱える課題を肌で感じ、課題解決へ向けてできることを自分自身で考えます。特にワークキャンプでは、同世代の若者が言葉や文化の壁を超えて、ボランティアワーク(共同作業)に取り組むことで、実際に現地の人々や地域のために貢献し、親密な関係を築くことができるのです。

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