「富士山ってどこにあるのかな。」御殿場駅についても僕は富士山が見えなかった。僕の心は、そわそわしていたので、深呼吸をして自分を落ち着かせた。登山の準備が始まると忘れ物があると命にかかわることが分かり、とても緊張した。
初めて目の前で見る富士山は、とても迫力があって、大きくて、「うわぁ、すごいなぁ!」と思った。登りはじめに緑が多かったことはイメージしたものと少しちがった。登るにつれて、今まで経験したことのない感じがして自然と僕の心が落ち着いてきた。疲れてきたら、「まだいける。まだいける。」と自分に言い聞かせて笑顔をうかべた。ネガティブワード*¹は絶対に言わないと決めた。途中で食べたモリイチゴの実は、あまずっぱく、花々もとてもきれいだった。高いところに行くにつれて、木が小さくなっていった。森林限界*²をすぎると岩だけしかないところに圧とう(倒)された。七合目の山小屋「見晴館(みはらしかん)」でグループメンバー6人が笑いながら過ごしたことは良い思い出になった。見晴館では、さるリーダー*³の教えの通り、体温を保ったら体調をくずさなかった。高い山では体調を整えることの大切さがじゅうぶん分かった。夜中に歩き始めるとドキドキしたけど空にはオリオン座が見えて、少しホッとした。雲と空の間からご来光が見えた時は、今までの疲れが一気にふき飛んだ。そして、頂上についたとたん、ものすごい感動が頭の中をかけめぐった。「このキャンプにきて本当によかった。」と思った。
山をおりるときに飲んだ富士山ラムネの味は僕の気持ちをよくしてくれた。この味は一生忘れないだろう。あらためて頂上を見たとき、「やっぱり、富士山は大きいなぁ。」と思った。
今、鹿児島の家に帰ってきて思うことは、富士登山キャンプに参加して本当に良かった。僕の一生の宝物になります。ファイヤーリーダー、もやしリーダー、そして全国のリーダー、ありがとうございました。冬もYMCAキャンプに行きます。
2016年8月23日
*¹ネガティブワード:事前ガイダンスで説明があった「きつい」「だめだ」「やめたい」などの言葉
*²森林限界:(須走口)富士山本六合目を過ぎ、2740m付近から木々がなくなる光景
*³さるリーダー:日本YMCA同盟東山荘ネイチャープログラムスタッフ。富士登山のスペシャリスト
「一期一会」とは申しますが、メンバー49名、リーダー12名、計61名の貴重な思い出は、一生に一度だと思っております。顔も名前も知らないメンバー同士が親しくなり、皆で助け合い、感謝を体現している姿をたくさん見ることができました。また、「富士山」という大自然の中で各々が工夫を凝らし、グループとして成長していく過程も垣間見ることができました。
YMCAは、野外活動プログラムを通して「精神」「知性」「身体」の調和のとれた人格形成を願う団体です。これからもキャンプの経験が生かされ、メンバー一人ひとりが、健やかな「心」と「身体」を培っていけますことを願っております。また、些細なことにも「感謝」を忘れず、大切な「生命(いのち)」を育んでいってほしいと思っております。