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【Yストーリー14】大切な「家族」とともに

2016年7月8日

「みんなが一日も早く元気になりますように」。避難所となっている御船町スポーツセンターで、避難者とYMCA水前寺幼稚園の園児が復興への願いを短冊に込めて、七夕の飾りつけを行った。
 子どもたちとの交流で見えた笑顔の陰で、「地震で家は無事だったが、大雨による山崩れで家には帰れない」と不安をにじませる参加者もいた。

七夕飾り

「犬や猫を預かる場所をつくりましょう」。本震から2日後の4月18日、人と犬の命を繋ぐ会の岡本代表(写真左:左側)とYMCAは互いの意思を確認し合った。そして「ワンニャンハウス」は完成した。前震から1ヵ月後の5月14日のことだった。

「ワンニャンハウス」は、今も約800人が身を寄せる県内最大規模の避難所・益城町総合運動公園に設置された犬猫専用の“避難所”。繋ぐ会やYMCA等複数の団体で構成される「益城町いぬネコ家族プロジェクト」が運営する。岡本さんは現在、同プロジェクトのリーダーを務めている。

 避難生活を送る二子石慶子さん(写真左:右側)は、「以前はリードを2本持って出かけていました。安心して預けられるので、今では外で用事を済ませるのもラクになりました。みんな仲良しでとても楽しそうに遊んでいます」。ハウスの存在は、犬猫の拠り所であるばかりでなく、飼い主にとっても生活再建への後押しとなっている。

ワンニャンハウス

 岡本さんはニュースで熊本で起きた地震のことを知り、東京から福岡へ戻った。それから、ペットのためにドッグフードやペットシーツなど思い当たるものを車に詰め込んで、熊本入り。益城町の避難所数ヵ所を回り情報収集した。ペット同伴の避難者らは身一つで、ペットフードなどは一切持ち合わせていなかった。そのため、持参したドッグフードを小分けにし、各避難所で配給できるようにした。途中、ペットの捜索に手を貸してくれと声をかけられたこともあったが、「自分がやるべきことはこれだ」と、5時間をかけ福岡と熊本を行き来し、ペット向けの物資提供を続けた。レトルト状のものがなかった初期の段階には、食欲のない犬にドライフードをふやかして与えることもあった。「犬や猫を救うことは、家族を救うことだと思ったんです」。やがて発災から3ヵ月を迎える今も、あの一週間は忘れられないという。

 県内に設置が進んでいる仮設住宅では、ペットの同居が認められている。家族同然のペットが被災者にとって心の支えである一方、動物が苦手な人との共生は新たな課題だと、岡本さんは指摘する。「私たちにとっては、これからが正念場かもしれません」。被災者を取り巻く環境も変化を迎えつつある。

 7月10日~25日、益城町総合運動公園内の総合体育館で、「いぬネコ家族写真展」が開催される。“家族”たちが生きる姿をぜひ目にしてほしい。

写真及び報告作成:因幡亮治 熊本YMCA

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