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【Yストーリー12】響き合う喜び

2016年5月25日

 地震で天井板が崩落した益城町総合体育館アリーナの改修が終わり、廊下やロビーで生活をしていた避難者が22日から移動を開始した。

 カーテンで間仕切りされた各ユニットには、段ボールベッドとマットレス、畳が用意されている。また、天井部分は布の天幕で覆われ、天井への不安を和らげ、空調を効率化するのに一役買っている。この天幕は、YMCAのサポート団体であるワイズメンズクラブの声かけで集まったボランティア約140人によって準備されたものだ。

アリーナ

「気持ちよかばっかりです」。(熊本弁で「すごく気持ちがよかった」)益城町総合運動公園に設置された仮設風呂で入浴を終えたフクオカ オチヤさんは、そう感想を述べた。

 地震で倒壊した自宅は築45年の木造住宅。息子夫婦と愛犬とで暮らしていた。「仏壇がまだ取り出せんとです」。地震のため、ご主人の25回忌法要を行うはずの8月の予定もまだ見通せない。ちょうどこの日、約一ヵ月ぶりに“ぺしゃんこ”になった自宅を前にして、脚が震えた、と話してくれた。家族に止められていたが、どうしても自分の目でもう一度家の様子が見たかったのだという。

 息子さんができるだけ近くで転居先を探しているが、ペット同伴の条件もあり難航。アリーナへの入居も申し込んだが、荷物が畳一枚には収まらないと、ようやく慣れた場所からの移動に戸惑いを隠せないようだ。

 フクオカさんとにこやかに会話を交わすボランティアの中に、東部YMCAの生涯学習講座や熊本YMCA学院専門学校で介護資格を取得し、介護の道へ進んだ人たちがいた。

 松本悦子さん(写真左・右)はYMCAで介護職員研修を受講し、介護福祉士になった。入浴介助のボランティアに参加することになったのは、その時の担当スタッフから誘いがあったからだ。自宅は平屋で倒壊を免れたものの、倒壊家屋に囲まれ、「自分だけがぬくぬくと生活しているようで居たたまれなかった」と松本さんは振り返る。「何かがしたいと思っても、自分だけではどうしていいかわからなかった。そんな時に、YMCAから『あなたが必要だ』と声をかけてもらったんです」。

 渡辺千尋さん(写真右・中央)は、同じ講座で学んだ仲間からの情報で活動に参加。仕事を終えた後、ボランティアに足しげく通っている。「どんなことをしたらいいか手探りで、入浴のお手伝いなんて、自分では思いつかなかったですね」。渡辺さんは、2012年7月の九州北部豪雨をきっかけに当時の受講生7人で“シルバー7”を結成し、泥かきなどの支援活動を行った経歴を持つ。「喜ぶ顔が見たい」、こう語る渡辺さんにも笑みがこぼれた。

入浴介助

「避難所のボランティアは入れ替わりがあって、支える側が常に同じではないというのが、高齢者施設とは違って難しい。館内を回って一人ひとりに声をかけるようにして、ようやく顔と名前が一致してきたところです」と話すのは、老人ケア科卒業生の石井佑季さん。(写真右・左)「介護は人と接する仕事。限られた条件でも、できるだけ気持ちよく過ごしていただきたい」。YMCAで培われた専門性と誰かを支えたいと願う人間性がぬくもりとなって、今も困難の中にある人々に伝わっていくような気がする。

写真及び報告作成:因幡亮治 熊本YMCA

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